「油料理は美味しいけど、アブラは太るから嫌い」と人気があるのか敬遠されているのか微妙な立場のアブラ。
確かにアブラの摂りすぎは要注意ですが、「青魚のDHA、EPAが健康におススメ」というセリフもよく聞きます。“血液サラサラ成分”とか“脳の働きがよくなる”などの効用が知られていていますが、青魚のイワシやサバを食べる機会は少ないためサプリメントで補給する方法が手っ取り早いですよね。
確かに生のイワシやサバを買ってきて家で料理するのは面倒です。お店で内臓を取ってもらい、2枚や3枚におろしてもらったものを買ってくるとしても生魚を料理するとまな板に臭いがつくし、ちょうど食べられる量を買ってくるのも難しい。
そこで、缶詰を使ってみませんか?(2024年3月8日更新)
脂肪について
重要な栄養です
主な役割は
私たちの重要なエネルギー源で、たんぱく質や糖質の約2倍のエネルギーを生み出すことができます。
細胞膜として細胞を守ったり、皮下脂肪として臓器を保護したりしています。
脳の半分は脂質でできているため、脂肪酸は脳の機能に重要な役割を担っています。
脂質と脂肪酸
脂肪酸は炭素(元素記号=C)、水素(H)、酸素(O)の3種類の原子で構成されています。その中の炭素同士が鎖状につながっているのですが、炭素の長さ及び炭素同士が一重で結合しているのか、二重で結合しているのかによって脂肪酸の種類が分かれます。
一重結合というのは、
2つの炭素がお互いに手を伸ばして手をつないでいる状態
→ 飽和脂肪酸と呼ばれています。
二重結合というのは
2つの炭素がお互いに2本ずつ手を伸ばして手をつないでいる状態
→ 不飽和脂肪酸と呼ばれています。
血液をサラサラにする青魚の油は不飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は融点が高いため、常温で固形の脂です。
人間の体内から作ることもでき、糖質から合成されます。
飽和脂肪酸の効果はエネルギー源になることです。その一方で摂りすぎると血液中の脂質の値が基準から外れてしまい、脂質異常症になります。
脂質異常症とは悪玉コレステロールや中性脂肪が多くなり動脈硬化や心筋梗塞を引き起こすリスクが高くなる病気です。
飽和脂肪酸の多い肉(100gあたり)
脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
牛肩肉(脂身) 53.95g 27.32g
豚肩肉(脂身) 68.13g 27.09g
牛もも(脂身) 56.08g 25.71g
鶏もも(皮) 48.07g 16.30g
鶏むね(皮) 48.07g 16.30g
豚ばら(脂身付き) 33.36g 14.60g
出典:飽和脂肪酸を多く含む食品とは?健康への影響や摂取目標量を紹介 | MediPalette (lotte.co.jp)
不飽和脂肪酸
鎖状につながった炭素同士が二重に結合したものだと述べましたが、二重結合の数によって種類が分かれます。
二重結合が1つのものを一価不飽和脂肪酸
二重結合が2つ以上あるものを多価不飽和脂肪酸
といいます。
一価不飽和脂肪酸
代表はオレイン酸で、オリーブオイルに含まれています。
オレイン酸は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを減少させない働きがあります。そのため、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞、高血圧などの予防に役立つと言われています。
鎖状につながった炭素のうち、9番目と10番目が二重結合なので“オメガ9”と呼ばれています。
オメガ(記号=ω)は脂肪酸の分類を表しています。
オメガの代わりに”何番目”を表す"n-"(numberの略)が使われることもあります。
多価不飽和脂肪酸
鎖状につながった炭素のうち、どこが二重結合なのかによって種類が分かれます。
オメガ3系脂肪酸
3個目と4個目の炭素の間に最初の二重結合があるものをオメガ3系脂肪酸といいます。
オメガ3系脂肪酸に含まれるのがαリノレン酸、EPA、DHAです。
αリノレン酸は血中の中性脂肪を下げる、血栓や高血圧の予防効果があると言われています。食品から摂らなければいけない必須脂肪酸で、代表的なオイルはアマニ油、えごま油です。
EPA、DHAも必須脂肪酸で主な摂取源は魚介類です。EPAとDHAの効果については次項で述べます。
オメガ6系脂肪酸
6個と7個目炭素の間に最初の二重結合があるものをオメガ6系脂肪酸といいます。
オメガ6系脂肪酸は体内では合成できないため食事から摂取する必要がある必須脂肪酸です。代表はリノール酸で主に大豆油やコーン油などの植物油から摂れます。
リノール酸は「悪玉コレステロールを減少させる」と言われ、その後「大量に摂取すると善玉コレステロールも低下し、炎症も起こすことからがんを発生させる」と言われるなど、効果の良し悪しがはっきりしなかったそうです。
現在、リノール酸は
悪玉コレステロールを増加させず、善玉コレステロールを減少させない
という評価になっているそうです。
出典:脂質による健康影響:農林水産省 (maff.go.jp)
出典:植物油と栄養|一般社団法人 日本植物油協会 (oil.or.jp)
青魚は体にいい!
DHA
DHAは脳細胞膜に存在しています。特に記憶や学習に関わる海馬に多く集まっていると言われ、脳を活性化する働きや神経伝達能力を向上する働きがあります。
アルツハイマー型認知症患者に6か月間DHAを摂取させると計算力や判断力が高まるという報告もあるそうです。
DHAには血管壁の細胞膜を柔らかくする働きもあるので、血流を改善する効果があり、血液サラサラになります。
目の網膜に含まれる脂肪酸の約40%をDHAが占めていることから、近視の改善、集中力の向上、動体視力の改善などの報告もあります。
出典:DHA(ドコサヘキサエン酸) | 成分情報 | わかさの秘密 (wakasa.jp)
EPA
極寒の地にもかかわらず、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった血管のつまりが原因の病気にかかることが少ないのは血液がドロドロの粘着状態にならないで体の中を正常に流れているからです。
EPAは血液の粘度を下げて血液を固まりにくくし、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症を予防します。
これまでの研究でEPAを摂ると血液中のEPAの濃度は順調にあがる一方で摂らなければ減ってしまうことが分かったそうなのでEPAは意識して摂る必要があります。
出典:EPA(エイコサペンタエン酸) | 成分情報 | わかさの秘密 (wakasa.jp)
サバとほうれん草和え
缶詰料理はパパっと料理の味方
食べ物を腐らせる原因となる微生物を除き、缶内面の腐食を防いで衛生管理をし、その食品がもつ栄養を保てる工夫がされています。
サバ缶はただ魚の切り身が入っているのではなく、水煮、みそ味、しょうゆ煮等、さまざまな味がついていますよね。これらの調味液もどんどん改良が進んでとても美味しいので缶から魚だけを出すのではなく、調味液も使いましょう。頭や内臓は取ってあるし骨まで柔らかく煮てあって味もついているので缶詰から出してすぐに使えてお値段もとってもリーズナブル。忙しい日、疲れた日に缶をあけるだけですぐに食べられる缶詰にちょこっとだけ手を加えて栄養満点の一皿を作りましょう。
ほうれん草の栄養
βカロテンが豊富で免疫を高めてくれ、体内に入るとビタミンAに変換されるので髪の毛や皮膚を健康な状態にしてくれます。ミネラルも沢山含んでいて、特に赤い根の部分にはマンガンが豊富です。マンガンはカルシウムと同じく骨を強くしてくれる他、色々な酵素の成分として体のバランスを整える働きをします。
レシピ
材料
ほうれん草 一束
パプリカ(赤) 1つ
粗びきこしょう 適量
ほうれん草の洗い方
水を張ったボウルにほうれん草の茎の下の部分が下になるように入れ、葉をもってやさしくフリフリすると残っていた土やゴミが取れます。ボウルの水を取り替えたら根の部分を上に持ちかえて葉っぱを水につけてフリフリします。
このような洗い方を“フリ洗い”と言って、葉もの野菜や花野菜(ブロッコリー等)はこのやり方をします。
作り方
2. フリ洗いをしたほうれん草を長さ3等分に切る。
3. 鍋に塩分1%のお湯をたっぷりとわかし、ほうれん草の茎の部分からお湯に入れ、30秒したら葉の部分を入れ、30秒したら冷水を張ったボウルに入れて色止めをし、水気をよく絞ってサバ入れたボウルにほぐしながら入れる。
→ 長く水につけているとカロテンやビタミンCなどの水溶性ビタミンが溶け出してしまうので短時間に冷やしたら水からあげましょう。
4. 両手でほうれん草をぎゅっと持って殆ど水が出てこなくなるまで絞ります。 赤パプリカはタテ半分に切ってヘタと種を取り出す。1.5cm程度の幅にタテに切る。
→ 切り口の白いワタはなるべく取ると口当たりがよくなります。
5. 3のボウルにパプリカを入れ、黒こしょうをたっぷりとふる。
→ パウダーのこしょうではなく、ホールの黒こしょうを挽きながら入れると風味が立って味もピリリとするのでおススメです。
サバ缶の調味液とこしょうだけの味つけです。ほうれん草が持つちょっぴりの苦味と甘み、パプリカの甘みと歯ごたえが楽しめてシンプルな料理とは思えない賑やかな味わいが楽しめます。
島根県江津市のお料理教室から
🅟🅡🅞🅕🅘🅛🅔
ココットキッチンスタジオは料理、パン、お菓子が学べる料理教室です。
作り慣れた定番のごはんをもっと美味しく作るために意外と忘れられている「基本」、新しい味の世界をのぞいてみる「好奇心」、日頃の疑問や悩みの答えを見つける「発見」の3つを大切にしています。
島根県のちょうど真ん中あたりに位置する江津市にある古民家のキッチンスタジオで一緒に「美味しい」を見つけませんか? 浜田市、大田市、邑南町からも食いしん坊の皆さんにお越し頂いています。
ぜひ一度、足を運んでみてください!‣詳しくはコチラ
このブログではオーナー 福田順子がレシピや料理のワンポイント、食材の豆知識などをお届けしています。
取得資格: ABCクッキングスタジオの認定インストラクターとして登録
ABCクッキングライセンス
ABCブレッドライセンス
ABCケーキライセンス
日本ヘルシーフード協会 ヘルスフードカウンセラー1級
<ディプロマ>
東京會舘クッキングスクール 西洋料理応用専攻コース修了
一般社団法人ベターホーム協会 魚料理、肉料理、飲茶、イタリア料理各コース修了