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野菜の切り方で料理は見た目の印象も美味しさも変わる!

野菜の切り方で料理は見た目の印象も美味しさも変わる!

このブログで色々なレシピを紹介してきました。気をつけるポイントを逃さないように、なるべくわかりやすいようにと心がけてきましたが、レシピの手順を補足しながら説明するだけではなく“どうしてそうするのか”という普段の料理クラスで話しているようなことも取り上げてみようと思います。

今回は野菜の切り方についてです。暑い時期に美味しいプルコギのレシピも紹介しています。(2024年9月19日更新)

料理を美味しく感じる5つの要素

見た目

外食や出前を頼む時に料理の写真が載っていれば見た目で決めることも多いのではないでしょうか。

日本料理は「目で食べる」とも言われ、器にその時々の季節を描いたり繊細な細工をしたりして楽しみます。

家庭料理でも盛りつけや食材の切り方で料理のイメージを変えられます

次章「盛りつけ」で代表的な2つのパターンをご紹介しましょう。

匂い、香り

料理が運ばれてきた時、「見る」と同時に感じるのが「匂い」です。

ぐつぐつと肉や野菜が煮える匂い
焼きたてのパンの香り
刺激的なスパイシーな香り
爽やかなレモンの香り

など、嗅覚は脳を瞬時に刺激して美味しさを伝えます。

料理によっては作っている最中に匂いでお腹が鳴ってしまい、匂いにつられて台所に入ってしまうこと、ありませんか?

噛む音

噛む音”と美味しさの相関関係を示す面白い研究がイグノーベル賞を受賞したポテトチップスの研究です。

被験者に防音室でヘッドフォンをしてもらい、自分がポテトチップスを噛む音を聞かせ、その音を大きくしたり小さくしたりしたそうです。その結果、大きな音量で高音域を強く出した時のほうが噛み応えがあり、新鮮に感じられたそうです。

レタスやキャベツのパリパリ
れんこんのシャキシャキ
にんじんのポリポリ

など、その食べ物特有の音が聞こえるとより一層美味しく感じて楽しくなります。

歯ごたえ、舌ざわり

歯ごたえは食材が持つ大きな特徴の1つです。

柔らかければ良いというものではなく、硬いおせんべいやなかなか噛みきれないスルメを愛する人は多く、すぐに噛みきれないことも魅力です。

同じ食材でも料理の仕方によって歯ごたえが変わります。

生のにんじんはポリポリ、煮込んだにんじんは柔らかく甘みも増します。
ゆでたじゃがいものホクホクした食感、裏ごしをしてクリーミーに仕上げたマッシュポテトのトロトロした舌ざわり。

私の両親の晩年は介護状態で噛む力や飲み込む力が衰えたために食事には何でも“トロミ剤”と言われるゼリー状のものをかけて食べていました。食べやすくなる一方で何を食べても同じような食感になってしまい「美味しくない・・・」と食べる気持ちが萎えてしまい、とても困ったことを覚えています。

食べ物を口に入れた時の噛み応えは私たちの美味しさセンサーに敏感に反応しています。

味わい

”味“というと、塩味とか醤油味とか味の決め手となる特徴を指しますが、”味わい“は食べ物の旨味を十分に楽しむことです。

特に季節や気候に合わせた献立は私たちの五感に訴えかけて味わいを増すように思います。

遠からず秋がやってきます。
さつまいもやじゃがいもなどのいも類、きのこ類もこれから美味しくなります。

ホクホクの焼き芋
一口大に切って揚げ、甘い蜜をからめた大学芋
スティック状に切ってカラリと揚げ、蜜をからめた芋けんぴ

それぞれさつまいもの甘みと食感を生かしていて口に入れると“秋だな~”としみじみ美味しさを堪能する・・それが味わいというものではないかと思うのです。

大学芋と芋けんぴは両方とも挙げてから甘い蜜をからめて作ります。が、大学芋は芋のホクホク感を楽しみ、芋けんぴはパリッとした歯ごたえが醍醐味。

料理の美味しさは味つけだけではなくて風味や歯ごたえなどの要素も大事で“切り方によって左右されます

野菜の切り方が重要な理由

「食べ方」を想像して「切り方」を考える

提案したいのは
どう切るか」ではなく
どう食べるか
を思い浮かべることです。

出来上がりのイメージを考えてみましょう。

1. 盛りつけ → 出来上がりはどう見える?
2. 食感 → 柔らかい? シャキシャキ?
3. 使う食材のバリエーション → 火通りがいいもの? じっくり火を通すもの?

この3つの要素が調和するのかを考えてみましょう。
3つの要素がケンカする時はどれを優先するのかを決めます。

盛りつけ

大きく分けて選択肢は2つ。

スッキリとシャープに見せたい
カジュアルに温かみを感じさせたい

シャープ路線

洗練された見た目に仕上げるには、食材の大きさを揃えて切り口を直線にします。
統一された大きさ、形が揃った食材は好感度が高く、特にお皿が食卓に運ばれた最初の瞬間に好印象をもたらします。

料理に手間をかけたな工夫したな、と想像できるので特別な感じも生まれます。

当ブログで紹介した料理では

青椒肉絲
栄養満点!青椒肉絲(チンジャオロース)には豚肉?それとも牛肉?

“絲”という字は細切りという意味です。肉を細切りにするだけではなく一緒に炒めるたけのこ、ピーマン、長ネギも細長く切って揃えるとスッキリと見えます。

サバのムニエル
これから旬を迎えるサバをムニエルで

ムニエルにかけるソースに入れる野菜、トマト、玉ねぎ、ピーマンを1cm角に切り揃えています。小さく切り揃えらえた野菜の彩りが豊かで視覚に訴えます。と同時にそれぞれの野菜の酸味(トマト)、辛味(玉ねぎ)、苦味(ピーマン)が感じられて味覚も刺激されます。

ボストンクラムチャウダー
あさりをもっと美味しく食べちゃおう!クラムチャウダー

アメリカの代表的な貝と野菜を煮込んだスープ、クラムチャウダー。じゃがいも、にんじん、玉ねぎを1cm角に切り、ベーコンも同じように揃えています。
白いスープに同じ大きさの野菜の色が透けて見えて味に対する期待が膨らみます。

カジュアル路線

気取らない、リラックスした感じのお皿にはゴロンとした丸みのある形が似合います。

丸いゴロンとした形の良さは何と言っても存在感。
カレーのルーからじゃがいもやにんじんが顔を出していると食べ応えがありそうだし、ハンバーグに添えるじゃがいもやにんじんは小さすぎるとハンバーグとの対比がアンバランスになってお皿の上で居心地が悪そうに見えます。ハンバーグのパートナーとして負けない大きさが欲しいですよね。

炒めものや煮物は立体的に盛りつけるとより美味しそうに見えますが、具材を大きく切るとより存在感が増して視覚に訴えます。ソースやタレをかける料理ならツヤツヤしてより魅力的にアピールできます。

当ブログで紹介した料理では

ハニーマスタードチキン
ツヤツヤ野菜とチキンで一足早くクリスマス気分を盛り上げるおススメ料理はこれ

一口大に切った鶏もも肉に丸みのあるブロッコリー、球形のミニトマトを組み合わせています。丸みのある食材を色のバランスをとりながらお皿の中央をやや高めに盛りつけると立体感が出て楽しく感じられます。

さつまいもと牛肉の白ワイン煮込み
さつまいもをお肉と煮込めば立派なメインディッシュ

牛のこま切れ肉に輪切りにしたさつまいもをドンと盛りつけています。こま切れ肉はローストビーフやステーキなどと違って肉の存在感を出せないので丸い断面のさつまいもを乗せると大きな水玉模様になって柔らかなイメージの料理になります。

食材を目の前にすると作ることに気を取られますが目的は食べることです。出来上がりの料理をイメージするとどう切ればいいのか、分かりやすいと思います。

盛りつけイメージが浮かんだら、食感と火通りとの調和を考えます。

食感

食感は大きく分けて

シャキシャキとした食感、噛み応えを楽しむ
なめらかな柔らかさを楽しむ

の2つです。

シャキシャキ、噛み応えのある食感

野菜の繊維に沿って切ると繊維が残るのでシャキシャキとした食感になります。

野菜の繊維は、

根から茎に向かって
茎から葉に向かって
葉の根元から葉先に向かって

いるので、見ればすぐに分かります。

基本的には野菜をタテに切ると繊維が残ります。

当ブログで紹介した料理では

焼きキャベツのサラダ
春キャベツはサラダで食べる?いいえ、おススメなのはこれ

キャベツの葉をまるごと食べるとシャキシャキ感が楽しめる料理です。

歯は味覚を感じませんが、噛んだ時に圧力を感じると脳が刺激され血流が良くなり食べるリズムが生まれます。
何度も噛むと唾液の分泌が多くなり舌に広がります。そして、舌に広がっている味蕾という味を感じる器官が美味しさを感じるようになるのです。

出典:よく噛むことが食事を味わい、楽しむことにつながる!-噛む研究室(lotte.co.jp)



柔らかでなめらかな食感

野菜を柔らかく料理するには繊維を断ち切ります。シャキシャキ食感がタテに切るのに対してヨコに切ると繊維があちこちで分断されて硬さを維持できません。また、繊維の切り口が沢山できるのでそこからゆで汁や炒める時の油、ドレッシングなどの液体が入り込んで柔らかくなります。

当ブログで紹介した料理では

チキンガンボ
暑さ疲れにアメリカ南部の庶民の味、チキンガンボがじんわりと美味しい

鶏もも肉をトマトソースで煮込むアメリカ南部のケイジャン料理です。鶏と野菜類を炒めた後に10分程度の煮込み時間で野菜を柔らかくするために小さめに繊維を絶っています。
ガンボはオクラのとろみを生かしてトロトロとしたスープにするので野菜の歯ごたえは無用。

火通り

野菜を茹でたり焼いたりする場合、すぐに柔らかくなる“火が通りやすい”野菜と一定時間かかる“火が通りにくい”野菜があります。

繊維がしっかりとした野菜、玉ねぎ、にんじん、れんこん、ごぼうなどは火が通りにくく、もやし、ピーマン、ズッキーニなどは火通りや早い野菜です。

これらの野菜を一緒に炒める、または煮込む場合はそれぞれの特徴を考えて切る大きさで調整します。

火通りが早い野菜大きめに切る
火通りが遅い野菜小さめ薄く切る

実際には“切る”だけでは火通りを揃えるのは難しいので火通りが遅い野菜から茹でて(または炒めて)、火通りが早い野菜は後から入れると効果があります。

当ブログで紹介した料理では

鶏だんごのスープ
春までもう一息。これがあればカラダも心もぽっかぽか

この料理は鶏ひき肉の団子、長ねぎ、大根を煮込んでいます。大根は1cmの薄い輪切りにして繊維を絶ち、長ねぎは10cm長さに切ってやや繊維を残しています。火が通りにくい大根から茹でて後から長ねぎを入れて煮あがりが同じになるようにしています。

食材の火通りに関しては切り方以外にも、食材の特徴、調理の手順なども関係しますので、別の機会にお話しします。

プルコギ

”火”と”肉”の韓国料理

プル(火)、コギ(肉)という意味の韓国料理で、甘辛いタレに漬けた牛肉と野菜を焼いたお料理です。甘めの味は韓国調味料のコチュジャン、もち米麹を発酵させて作ります。

韓国料理店ではジンギスカンのように中央が盛り上がった鉄板で焼くスタイルがポピュラーです。上のほうに肉を並べ、下のほうに野菜を置くと肉に漬けた汁が流れてきて野菜にも味がつきます。

家庭ではお鍋で一気に炒めて作ってしまいましょう。予め肉に下味をつけておくので炒め始めてからあれこれと調味料を入れる手間がなく、ササッと短時間に作れます。

材料(2人分)

牛こま肉 150g
にんじん 50g
たまねぎ 1/2個
にら 50g
もやし 100g(好みでひげを切る)
にんにく 1片

砂糖 大さじ1
しょうゆ 大さじ1+1/2
酒 大さじ1
コチュジャン 大さじ1/2
ごま油 大さじ1/2

白いりごま 大さじ1/2

※豚肉で作る場合もこま切れや薄切り肉を使うと味が染みて短時間で炒め合わせられます。豚肉は脂が多く出るのでこってりとした仕上がりになります。

作りかた

1. 牛肉は5~6cm幅に切る。ボウル(またはビニール袋)ににんにく、砂糖、しょうゆ、酒、ごま油、コチュジャンを入れ、牛肉と合わせ、よくもみ込む。15分くらいおく。
2. にんじんは皮をむき、3~4cm長さの細切り。
3. 玉ねぎは繊維に沿った薄切りにする。にらは5cm長さに切る。
4. フライパンにごま油を温め、中火でにんじん、玉ねぎを炒める。 しんなりとしたら1の牛肉を加え、ほぐしながら炒める。肉の色が変わったらもやしを加えてさっと炒め合わせる。
5. にらを加えたら30秒炒め、火を止める。
6. 器に盛りつけ、白いりごまを散らす。

※ 炒める野菜が玉ねぎ、にんじん、ニラ、もやしと細めのものが多いく、短時間で仕上げる料理なのでにんじんも細切りにして食感を合わせています。
※ 炒める順番は、火通りがしにくい玉ねぎ、にんじんを最初に炒めはじめ、牛肉、もやし、ニラを最後に入れます。

島根県江津市のお料理教室から


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ココットキッチンスタジオは料理、パン、お菓子が学べる料理教室です。
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このブログではオーナー 福田順子がレシピや料理のワンポイント、食材の豆知識などをお届けしています。

取得資格: ABCクッキングスタジオの認定インストラクターとして登録
      ABCクッキングライセンス
     ABCブレッドライセンス
     ABCケーキライセンス
     日本ヘルシーフード協会 ヘルスフードカウンセラー1級
<ディプロマ>
     東京會舘クッキングスクール 西洋料理応用専攻コース修了
     一般社団法人ベターホーム協会 魚料理、肉料理、飲茶、イタリア料理各コース修了
     日本ヘルシーフード協会 フィットネスフードデザイナー養成講座修了

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