料理が苦手、嫌い、の最大の理由は“面倒”ではないかと思います。
料理を生業としている私も毎日毎回「わー楽しい」と料理をしている訳ではなく（何か作らなくちゃ）としぶしぶ腰を上げることも珍しくはありません。キッチンに立ってしまえば作り始めますが、そこにいくまでは（面倒・・）という気持ちが圧倒的に支配することも多々あります。

教室の生徒さんに料理が面倒な理由を尋ねると、
・何を作るのか、考えるのが面倒
・材料を洗ったり切ったりするのが面倒
・レシピに沿って炒めたり煮たり味つけをするのが面倒
・お鍋やまな板などを洗うのが面倒

と、作る前から食べ終わった後まで”面倒”な気持ちオンパレードなのが料理という作業。

そこで・・・、今回は面倒なことのうち多くを解決する方法を提案したいと思います。

それは、ブロック肉を使うこと！

ブロック肉というのは、薄切りやとんかつ用などに切り分けてある肉ではなく、
豚バラ肉のかたまり肉
豚肩ロースのかたまり肉
牛もも肉のかたまり肉（ローストビーフでおなじみ）
などのことです。

かたまり肉が便利なのは

作る料理を決めやすい
味つけがシンプル
煮込み時間に他のことができる
火通りのチェックが簡単
盛りつけが見栄えする
鍋１つ

があります。

9月19日のブログ”野菜の切り方”で食事の楽しみは

1. 見た目
2. 匂いや香り
3. 咀嚼する時の音
4. 歯ごたえ、舌触り
5. 味わい

によって感じられると書きましたが、かたまり肉はこれらをほぼカバーします。

ごろんとした肉の存在感は見た目にも美味しそうで、熱々の煮込み料理のにおいは食欲を刺激します。
噛み応えは肉料理の醍醐味で大きなかたまり肉は（肉を食べてる！）と味も堪能できます。

ぜひ、ご活用ください。

ブロック肉の料理方法は

煮込む
または
焼くか

の２つです。

煮込む場合は煮込むスープの味付けと一緒に煮こむ野菜を決めます。
味つけは、トマトベース（赤いスープ）、牛乳ベース（白いスープ）、プレーン（特別な味付けはしない）の3種類から選択。

一緒に煮こむ野菜は煮崩れしにくい根菜類を選び、仕上げにブロッコリーやズッキーニ、いんげんなどの緑色の野菜を加えると彩りが良くなります。

焼く場合はソースと付け合わせの野菜を決めます。
ソースの種類は沢山ありますが、肉を焼いた時に出た肉汁を使うと美味しいソースができます。フライパンに残った肉汁にバルサミコ酢や赤ワイン、ラズベリージャムなど酸味のあるものを少し加えて煮詰め、仕上げにバターを入れるのが簡単な作り方。

付け合わせの野菜はこちらも根菜類がおすすめです。フライパンで焼くにせよ、オーブンで焼くにせよ、野菜の水分がかなり蒸発しますので大きめに切って肉と一緒に焼きます。

“ブレゼ”という蒸し煮が最も簡単、手軽に作れるブロック肉料理です。

以前、当ブログで紹介した料理
豚肩ロースのブレゼ
https://x.gd/PXLit
ツヤツヤ、しっとりと仕上がるお肉料理の決定版を可愛いワンプレートで

はトマトベースのスープで煮込みました。

今回はさらに簡単なプレーンのスープのブレゼを紹介します。

プレーンな味という意味は塩、こしょう、コンソメキューブ（または顆粒）だけで煮込み、肉本来の美味しさを存分に味わうという料理法です。
肉の臭みを消すためにハーブを入れたり、香味野菜を一緒に煮こんだりするのが普通です。

ハーブはローリエ、タイムなどがポピュラー。生のものでなくてもスパイス売り場に売っているもので十分。乾燥タイムはお茶パックに入れればOK。お茶パックに入れず、スープに直接入れると具材にハーブの細かい葉がくっついて見た目も悪く、口あたりも悪くなるのでご注意ください。

香味野菜は玉ねぎ、セロリ、にんじんが常連。セロリは最初に茎を入れ、葉は最後に入れます（最初から葉を入れるとクタクタになり色も落ちて美味しくなくなります）。

肉や野菜本来の味が楽しめてそれぞれの素材のエキスが染みだしたスープはほっとする、やさしい味わいです。

当ブログで紹介した料理
ポトフ
https://x.gd/8JByk
寒い日、濃い味もいいけれど、ほのぼの温まってしみじみ美味しいおうちフレンチ

熱によって肉のたんぱく質が凝固して硬くなり、肉汁が出にくくなります。 つまり、肉のうまみを閉じ込める訳です。

鍋に油（サラダ油でもオリーブオイルでも）を熱し、強火でかたまり肉の６面に焼き色がつくまで焼きます。

300g程度の肉なら弱めの中火で30分煮込めば食べられます。竹串を刺して透明な汁が出ればOK。1時間煮込めば柔らかさを楽しめます。30分以上煮込む場合は時々鍋をチェックして煮汁がなくなってきたら水を足してください。

味の調整は塩とこしょうです。肉と野菜から旨味は十分出るので足すとすれば塩が基本でアクセントをつけるのならコショウをふります。

豚ももブロック肉 300g
塩 小さじ1/2
黒こしょう 少々
オリーブオイル 適量
白ワイン 100㎖
水 100㎖
コンソメ顆粒 小さじ１

玉ねぎ 1/2個
にんじん 1本
れんこん 120~150g
ごぼう 1/2本

ローリエ 1枚
黒こしょう 少々

※ ブロック肉は豚の肩ロースやロース肉、鶏のもも肉やむね肉でもＯＫです。

・豚ももブロック肉は調理する30分前に冷蔵庫から出す。
・ごぼうはよく洗っておく。

1. 豚もも肉の6面に塩小さじ1/2、黒こしょうをふる。
2. 玉ねぎは繊維にそった薄切り、にんじんは皮をむいて1.5cm厚さの輪切りにする。
3. ごぼうは皮ごと1.5cm厚さの輪切りにし、サッと水にさらして水気を除く。れんこんは皮をむいて2cm幅の輪切りにしたら半月に切る。
4. にんにくはタテ半分に切って芽を除き、包丁でつぶす。
5. 鍋にオリーブオイルを熱し、豚もも肉の全面に焼き色がつく程度に焼き、バットに取り出す。
6. 玉ねぎ、にんにくを加えて炒め、玉ねぎが少ししんなりとしたら火を止め、水と白ワインを加え、再び火をつける。鍋の底についた旨味をこそげ取るように炒め、アルコール分が飛んだらコンソメ顆粒を加えて溶き混ぜる。
7. 鍋の真ん中に豚肉を戻し、豚肉の周りにごぼう、にんじん、れんこんを入れ、ローリエを入れる。沸騰したらフタをして弱火にし、30分煮る。火を止め、10分間蒸らす。
8. 豚肉を食べやすく切り、野菜とともに器に盛る。好みでこしょうをふりかけたり、マスタードを添える。

※ ブロック肉は四角に切ってあるとは限らないので肉がゴロンと転がって不安定になる面もあります。トングでつかんで6面を焼いてください。
※ 白ワインなどアルコール分を加える時は念のために火を止めます。
※ 鍋からの湯気にアルコール臭が消えればアルコール分が飛んだと判断できます。