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春の味覚を楽しみながら栄養ジャージ

春の味覚を楽しみながら栄養ジャージ

ようやく春が来た!と感じられる陽気になりました。寒さをこらえて土から顔を出した山菜は命の息吹に溢れています。ほのかな苦味が美味しい菜の花は幅広い栄養を蓄えていることをご存じですか? 旬の味を楽しみながら体が整うパパっと一皿のご紹介です。

菜花

菜の花と菜花の違い

菜の花と菜花は同じものを指しているのでしょうか?

同じもののように思えますよね。言葉の違いは“の”の字だけですから。

地域によって呼び方が違うのだろうか?
菜の花を略して菜花を呼んでいるのだろうか?

2022年2月26日付けブログでも触れましたが、
「今が旬!菜の花の美味しさをもっと引き立たせる法則とは」

正解は

菜の花はアブラナ科アブラナ属の花の総称
菜花はアブラナ科アブラナ属のうち、葉や茎、花を食べられるものの総称

です。

つまり、両方とも特定の種類を指しているのではない、ということになります。

広くはチンゲン菜、小松菜、ブロッコリーなども菜花の一種。でも、一般的に「菜花」と聞くと閉じたままの蕾の先から少し黄色が除いている春菊のような茎と葉をもった野菜を思い浮かべるのではないでしょうか?

これらの菜花には日本の在来種である和種と外来の洋種があります。
和種はアブラナ
洋種はセイヨウアブラナ
と呼ばれています。

アブラナ(和種)

歴史

北ヨーロッパからウクライナ、ロシア、シベリアに至る地域で原産種が見つかっているそうです。
中国には紀元前に伝播し、日本書紀に菜花の一種である「つけな」が登場しているため日本には奈良時代より以前に伝播したと考えられています。

なたね油

なたね油として知られているように16世紀には油の原料としても栽培されていました。
戦国武将として名高い齋藤道三(織田信長の義理の父)は若い頃に美濃で油売りの行商で大成功を収めましたが、彼が売っていたのはなたね油です。
なたね油の搾りかすは畑の肥料に使われていたので、菜花は余すところのない利用価値の高い存在でした。

その後、アブラナにはエルシン酸という有害物質が含まれていることが分かりました。
セイヨウアブラナは品種改良によってエルシン酸を取り除くことができたため、現在のなたね油はセイヨウアブラナから作られています。搾りかすは家畜の飼料にも使えるようになったそうです。

種類

アブラナは主に花と蕾、葉を食べます。

店頭では「なばな」として並ぶことが殆どで品種名は伏せられることが多い野菜です。
名前を出して売られる菜花はご当地野菜としてブランド化し、知名度アップに力を入れているもので、例えば

京都の伏見寒咲き花菜
伏見ちりめん花菜
福島の茎立ち菜

などです。

出典:農林水産省 みやぎの野菜指導指針



セイヨウアブラナ(洋種)

歴史

原産地はアブラナと同じく北ヨーロッパからウクライナ、ロシア、シベリアに至る地域という説とヒマラヤから中近東という説があります。

種類

セイヨウアブラナは主に花茎と葉を食べます。アブラナに比べて濃い緑色で苦味が少ないのが特徴です。

セイヨウアブラナも個々の品種名を出さずに店頭に並ぶことが殆どで、ご当地野菜として名前を張っているのは

はるの輝(岩手県)
菜々みどり(東北地方)
かき菜(栃木県)
博多花おいしい菜(福岡県)

などです。

ちなみに、わが島根県では「あすっこ」という菜花を生産しています。
“島根の明日をめざす野菜”と“アスパラガスのような食感”、“アスコルビン酸(ビタミンC)を多く含む”というコンセプトから「あすっこ」と命名されました。

小さな花蕾をつけていて花蕾、茎、葉が食べられます。
菜花本来の苦味がなく、茎にはアスパラガスのような食感と甘みがあるのが特徴です。

出典:野菜情報サイト 野菜ナビ なばな 菜花
独立行政法人 農畜産業振興機構 野菜のいろいろ「あすっこ」- 月報野菜情報 - 2011年3月



キャノーラ油

なたね油にはエルシン酸という有毒物質が含まれていたと述べましたが、他にもグルコシノレートという甲状腺腫を引き起こす物質も含まれていました。
1974年にカナダでエルシン酸とグルコシノレートの含有量を抑えた品種、キャノーラ種が開発されました。
私たちがスーパーでよく見かけるサラダ油、キャノーラ油の原料です。

出典:菜種油 - Wikipedia



菜の花は栄養満点 - ビタミン類

ビタミンA

目の働きに大きく関わっていてビタミンAが不足すると夜間や薄暗い場所で見えにくくなります。

皮膚や粘膜の機能を健康に保つ役割もあります。皮膚の粘膜が丈夫だと外部からの病原菌の侵入を阻止することができるため体全体の免疫力を高めることができます。

ビタミンB1

疲労回復のビタミン」と呼ばれています。
糖の代謝に不可欠な存在でビタミンB1がなければ糖はエネルギーを作ることができません。

ブドウ糖を唯一の栄養源としている脳の働きにも影響します。イライラしたり集中力がなくなるほか、脳から伝達される末梢神経の動きが鈍くなるため手足の動きに影響がでます。

ビタミンB2

成長のビタミン」と呼ばれています。
細胞の再生や皮膚、毛髪、爪を作り体の成長と維持をサポートします。

ビタミンB6

たんぱく質の代謝に不可欠たんぱく質の摂取量が増えるほどビタミンB6の必要量も多くなります。

皮膚毛髪を作って成長を促します。
細胞の新陳代謝を促すことで眼精疲労の回復にも効果があります。
女性ホルモンの1つであるエストロゲンの代謝に関わり、月経前症候群(PMS)の症状を和らげる効果があります。

ビタミンC

強い抗酸化作用をもち、活性酸素の増加を抑えて皮膚血管の老化を防ぎます。

皮膚では
メラニン色素の沈着を防いで透明感のある肌を維持
コラーゲンの合成を助けてしわを防ぐ

血管では
心臓血管系の疾患である動脈硬化や脳梗塞心筋梗塞などの病気の予防

ビタミンCは免疫力もアップさせます。
体内に病原菌が侵入した際、白血球が攻撃してそれ以上の侵入を防ぎますがビタミンCは白血球の働きを強めるだけではなく自らも病原菌を攻撃します。
また、コラーゲン生成を助けて丈夫な肌を作ることで病原菌を侵入しにくくさせます。

ビタミンE

強い抗酸化作用があり「>若返りのビタミン」と呼ばれています。

血管の老化で顕著なのは動脈硬化です。動脈硬化の主な原因は過酸化脂質によって血管のしなやかさが失われたり血流が悪くなることです。過酸化脂質は血管内の悪玉コレステロールが酸化されて粘性の高い脂質で血管内にこびりつきます。

ビタミンEは過酸化脂質を分解して血中に粘度のある物質が流れ出すのを防いで血液をサラサラにする効果もあります。

紫外線から肌を守る働きもあります。

ビタミンK

怪我をして出血した際に血液が凝固するのはビタミンKの力です。また、怪我をした場所以外の血液が正常に流れるように凝固を抑制する働きもするそうで、とても不思議です。

葉酸

たんぱく質核酸を合成する時に働く酵素の補酵素として働いています。
核酸はDNAとRNAの総称で遺伝子情報をもち、その遺伝子情報通りにたんぱく質が体を作る指令を出しています。DNAの合成が正常に行われると細胞はその情報をコピーしながら分裂し再生を繰り返して成長していけるのです。

胎児や幼児にとって特に大切なビタミンですが、成人にとっても必要不可欠で細胞の入れ替わりが激しい口腔内や腸管は葉酸が不足するとすぐに影響が出ます。

また、葉酸は赤血球の生成にも関わっているため不足すると貧血になります。

他にも血管内に血栓を作らないように働きかけたり血流を改善するなど、健康な血管とスムーズな血流を作り出すために働いています。

菜の花は栄養満点 - ミネラル類

カリウム

私たちの体には約37兆個もの細胞があります。これらの細胞が正常に働くためには水分が必要で細胞内水分にはカリウム、細胞外水分にはナトリウムがそれぞれ多く含まれています。

適正な濃度を保つように細胞膜にはポンプ機能がついていてカリウムとナトリウムのバランスが保たれるようになっています。バランスが崩れると細胞は機能しなくなってしまうためカリウムはナトリウムと共に生命活動の基本を担っているといえます。

カリウムの摂取量が減りナトリウム過剰になると血管内に水分を摂り入れてナトリウムの濃度を下げようとします。その結果・・・

血液量が増えて高血圧になりやすくなります。
細胞は集まって組織を作っていて細胞間を埋めているのが体液です。この体液やリンパ液の量も増えるため体がむくみます。

また、筋肉の収縮と弛緩が正常に行われるように働いています。

カルシウム

身体の99%のカルシウムは骨と歯に貯蔵されて骨と歯を丈夫にしています。残り1%は血液や筋肉、細胞などでこれらがカルシウムを必要とすると骨に貯えられたカルシウムが溶け出して補充します。

骨は毎日生まれ変わっています。骨を形成するためのカルシウムが不足し、骨を壊す動きが促進すると骨が弱ります。これが骨粗鬆症です。

赤血球のヘモグロビンの構成成分です。
ヘモグロビンは血液中でたんぱく質と鉄が結びついたもので鉄が赤い色素を持っているために赤く見えます。肺で取り込まれた酸素を全身に運び、二酸化炭素を肺に運びます

酸素が不足すると細胞は代謝を正常に行うことができず、疲れやすくなったり、免疫力が下がったり貧血になってしまいます。

亜鉛

細胞の新陳代謝を促すミネラルで、特に舌で味覚を検知する味蕾は生まれ変わりのサイクルが早いため亜鉛が不足すると新しい細胞で作られず、味覚を感じにくくなってしまいます。

葉酸の説明でDNA情報をコピーして細胞の再生をサポートしていると述べましたが、葉酸もこの働きに関わっています。不足すると爪に白い筋が出たり、毛髪が細くなったり抜けやすくなったりします。

鉄がヘモグロビンに合成されるために銅は必要不可欠な存在です。
また、免疫細胞が作り出される際にも必要であり免疫力の維持にも貢献しています。

菜の花と鶏むね肉のしっとり煮

白だしを使って美味しく、早く

今回のレシピは白だしを使っています。

白だしは白醤油淡口醤油昆布などのだしを加えて作る濃縮調味料です。めんつゆと同様に水で希釈して使います。

淡い琥珀色をしていて香りも控えめで甘味のあるおだやかな味が特徴。素材の色を損なわず味を生かす料理、お吸い物やうどん、茶碗蒸しなどに向いています。

春を告げる菜の花の緑色が映えて苦味を楽しめるお料理です。

白だし商品によって希釈率が変わります商品のラベルにお吸い物、煮物、うどん、だし巻き卵などそれぞれに使う白だしと水の量が表示されているので確認してくださいね

材料(2~3人分)

鶏むね肉 300g
菜花 1束(200g)
しめじ 1パック(100g)

片栗粉 大さじ1

白だし 大さじ3+1/3
水 300cc
みりん 小さじ2

白だしの量は使用する商品の希釈率によって変わります。今回使用した白だしは煮物を作る場合の割合が「白だし1に対して水6」でした。水の量が300ccなので白だしはその1/6、50ccとなり、大さじ3+1/3を使いました。

作り方

1. 鶏むね肉はキッチンペーパーで水気を拭き取る。タテに半分に切ってから一口大にそぎ切りにする。
鶏むね肉に火を通すと硬くなるのは繊維が縮むためです。繊維を絶つことで柔らかく仕上げることができます。まず、タテに半分に切りその切り口と垂直にそぎ切りにしましょう。
そぎ切りにすると表面の面積が大きくなって火が入りやすくなります。
2. 鶏むね肉に片栗粉を薄くまぶす。
3. しめじは石づきを取り除き、菜の花は5~7cm長さに切る。
4. 鍋に水、白だし、みりんを入れて煮立たせる。フツフツとしたら鶏肉を入れ、再度フツフツしてきたら中火で1分火を通す。
5. しめじを入れて1分煮たら菜の花を入れて1分煮る。
※ 新鮮な菜の花なら1分煮れば十分です。少ししなびているような菜の花は1分煮たら茎を食べてみて硬ければさらに1分煮てください。大抵の菜の花は2分煮れば柔らかくなります。

白だしが味を決めてくれて短い煮込み時間で完成する料理です。
片栗粉のとろみで鶏肉が柔らかくツルンとした口あたりになり、菜の花にふさわしいやさしい料理になります。

島根県江津市のお料理教室から


🅟🅡🅞🅕🅘🅛🅔
ココットキッチンスタジ+オは料理、パン、お菓子(お休み中)が学べる料理教室です。
作り慣れた定番のごはんをもっと美味しく作るために意外と忘れられている「基本」、新しい味の世界をのぞいてみる「好奇心」、日頃の疑問や悩みの答えを見つける「発見」の3つを大切にしています。

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このブログではオーナー 福田順子がレシピや料理のワンポイント、食材の豆知識などをお届けしています。

取得資格: ABCクッキングスタジオの認定インストラクターとして登録
     ABCクッキングライセンス
     ABCブレッドライセンス
     ABCケーキライセンス
     日本ヘルシーフード協会 ヘルスフードカウンセラー1級
<ディプロマ>
     東京會舘クッキングスクール 西洋料理応用専攻コース修了
     一般社団法人ベターホーム協会 魚料理、肉料理、飲茶、イタリア料理各コース
 日本ヘルシーフード協会 フィットネスフードデザイナー養成講座
修了

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